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山田 方谷からの伝言
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33 山田 方谷(やまだ ほうごく)1805〜1877
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幕末の陽明学者。備中松山藩西方村(現在の岡山県高梁市)出身。
丸川松陰に朱子学を学び、陽明学を佐藤一斎に学ぶ。
新見藩の藩政改革に大きく寄与し、国家老として治蹟をあげた。
藩主板倉勝清が老中になると江戸へ行き、庶政改革に尽くす。
明治維新後隠退して教育に専念し、門下には三島中洲らがいる。
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              注)■は偉人の言葉 ◇は筆者の解説とコメント


■ それ善く天下の事を制する者は、事の外に立って、事の内に屈せず。

※本当に天下を動かす者は物事の束縛を受けない。事の外に立っている。
 事の内に屈しないという自由を持っている。超越している。



          *****


◇「かっぱちゃん、写真撮るのうまいよねえ」と、最近よくおだてられます。
かっぱちゃんというのはぼくの仮称、もともとはネット上で、河童の語源の
「かわわらわ。」というのをハンドルネームとして使っていたのですが、いつ
しか「かっぱちゃん」というのが通称となっています。

 それはさておき、「うまいよねえ」と言われると悪い気はしません。河童も
おだてりゃ木に登ります。いろいろなイベントに参加するたびに撮影役を頼ま
れることが多くなってます。写真機はもっぱらデジタルカメラ。ぼく自身、デ
ジタルカメラを持っていないので、人のカメラで撮影します。デジカメのいい
ところはアングルや露光などがその場で確認できること。

 何枚も撮っていくうちに、最近気づいたことがあります。被写体もまた、撮
って欲しいアングルがあるということ。被写体がどういうアングルで撮って欲
しいか、その声に耳を傾けます。ほんの少しアングルや露光を変えるだけで、
対象物がイキイキと躍動してくるのがわかります。

 前号のメルマガでは、木を削った話しをしました。樹齢5000年の縄文杉
の木ぎれを削っていくとき、木の声に耳を傾けます。削ってみて、引っかかっ
たら逆から削ってみる。木ぎれが成りたい形に削ってあげる。これもまた同じ
ことです。

 被写体にしても、木ぎれにしても、それぞれにそれぞれの意志というものが
あり、その意志を受けてこの世に具現化させるのがぼくたちのお役目というこ
とになるでしょうか。
        ◇   ◇   ◇

 昨夜、幼なじみが訪ねてきて、遅くまでいろいろな話しをしました。話しの
中で、彼は最近身体がガチガチで、いたるところが痛くてしかたがないと言い
ました。そのときに、ぼくはこの被写体や木ぎれの話しをしました。それぞれ
にはそれぞれの意志というか、心地いいというか、落ち着きたい状態があると。
これは物に限らず、身体や心もまた、心地いいところ、落ち着くところがあり
ます。

 たいていは痛いところがあると、そこを解(ほぐ)そうと一所懸命揉みまく
ります。よく揉めば痛さがほぐれ、堅さがとれるというのが通常の考え方です。
しかし、身体に聞いてみると、「痛い」ということは「触らないで」という悲
鳴というか声です。だから痛いところはそっとしておいてあげるのがいい。

 ぼくは最近、「操体」というのを教えてもらいました。「操体」というのは
「体を操る」という所から発想された、ボディ=パイロット、体の運転法です。

 操体は面白いです。身体だけじゃなくて、心にも通じます。心地よくないと
ころ、痛いところがあるとしますね。その心地よくないところ、痛いところは
そっとしておいてあげます。そして、その反対側というか違う一点に、必ず心
地良いところが同時に存在しています。それを探せばいいわけです。そこが見
つかったら、緊張と脱力によってリラックスさせます。すると、心地よくない
ところが、不思議と心地よくなってしまう。魔法のように。

        ◇   ◇   ◇

 先月熊野でこんなことがありました。そこで知り合った宇宙語をしゃべるG
さんという人と話しているうちに、ちょっと身体を触らせてほしいなと思いま
した。全身の右側がすっかりバランスを崩されていました。足と背中を調整し
てあげて、最後に右足首をみたら、内側に曲がっています。

「この右足首は、足首らしくないですねえ。どっちの方向が気持ちいいですか?」
とぼくが聞きました。

「内側に曲がっているから、やっぱり内側が気持ちいいんじゃないかな」とG
さんは答えました。

「それじゃ、内側に向けたまま、ぼくが上から軽く押さえますから(緊張)、
 軽く押し返すように力を入れてくださいね・・・。はい、もういいなあと思
 ったところで、全身の力をフッと抜いてください(脱力)。赤ちゃんに戻っ
 たつもりで・・・」

 緊張・・・ 脱力・・・ はい、深呼吸して・・・

 2回ほど繰り返して、そして足首を見ると、内側に曲がっていた足がすっか
り元通りになっていました。びっくりしたのは、ぼくでした。足首が、足首ら
しくなっている。Gさんは「足首が喜んでいる」ととても歓んでおられました。
身体のゆがみや怠さも1/4に減少したと。

「普通は心地よくない方に一所懸命に意識を持っていきますが、それは放って
 おいて、心地いい方に逃げればいいですね。すると、心地よくないものも本
 来の形に戻ってしまうんですね。不思議ですよねえ」
と二人で驚きあったのでした。

        ◇   ◇   ◇

 味をしめてしまったぼくは、幼なじみの彼にも同じように、足や背中に緊張
と脱力を加えて、心地いいほうに逃げることによって、心地よくないところが
心地よくなっていくことを体感してもらいました。理屈で言っても伝わらない
ものも、体感してもらうと瞬時に理解できます。そこが操体のすばらしさです。

 このことが解ったら、すべてに通じます。人生全般を心地いいほうに持って
いけばいい。心地よくない、痛いということはその部分が「触らないで」と言
っているわけですから、そっとしておいてあげればいい。その代わりに気持ち
いいところを探してあげて、心地いい刺激、緊張と脱力とリラックスを与える
ことで、いつしか心地よくない方、痛い方が魔法のように治ってしまいます。

 今までの生き方は、努力と根性とで良くないものを良くしようと頑張ってき
ました。良くないところを徹底的に分析し、こね回し、悪を絶とうとしてきた
わけです。しかしこれからは、そんなことをしなくてもいい。心地いい方に、
心地いい方に逃げていけばいいんですね。

 心地よさをいっぱい、いっぱい味わっていけば、後の心地よくないところは、
自然と心地よくなってしまいます。これからの時代はこれが常識になってきま
す。人でも物でも、触って欲しくないと言っているものはそっとしてあげまし
ょう。その代わり、心地いいところを探してあげる。自分も人も。

 写真を撮るときに、被写体の声を聞くというのも、これもまた同じこと。木
を削るとき、木が成りたい形を聞く、木の声に耳を傾けるのも同じことなんで
すね。ただ、耳を傾け、声を聞くことを覚えれば。

 

 

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