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佐久間 象山からの伝言
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34 佐久間 象山(さくま しょうざん)1811〜1864
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幕末の学者。信州松代藩士。蘭学・砲学に通じ、
西洋技術の摂取による産業開発と軍備充実を唱える。
門人吉田松陰の海外密航の事件に連座して蟄居。
のち京都で攘夷派の浪士に暗殺された。
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              注)■は偉人の言葉 ◇は筆者の解説とコメント


■ 格物の天地造化におけるは却って易く、
 人情世故におけるは却って難し。

※天地自然の事物の理を究めることは、かえって容易であるが、
 人間世界のことのほうが、かえって難しい。



          *****


◇先週末、陶芸を初体験しました。

 陶芸を教えてくださる木藤さんは十数年前に陶芸家になることを決意。さっ
そく陶芸教室に通い始めたそうです。「陶芸教室に通い始める?」そうなんで
す、木藤さんはそれまで一度も陶芸をやったことがなかった。やったことはな
かったけれど、自信があった。陶芸家になれるという確信めいたもの。

 今、ほんとうに陶芸家としてやっているのですから、嘘じゃなかったんです
ね。「最近、ようやく考えなくても手が勝手に動くようになった。これから真
の創作活動が始まるんです」と眼をキラキラさせながら語ってくれました。

 ぼく自身も20年来、グラフィックデザインという仕事をやってきて、物作
りは頭で考える物ではなく、対象物が成りたい形になれるように導くことだ、
いわゆる産婆さんのお役目をしているということを実感していたので、木藤さ
んの言葉がとてもすんなりと響いてきました。

 陶芸教室に行くことが決まってから、すでに陶芸をやっている友人にメール
したら、「土からのことば。」というサブジェクトで、こんな返事が返ってき
ました。

> 陶芸始めるの?
> いいよぉ〜土って。
> 最初、目をつぶって触ってください。
> 捏ねる時も、ろくろで土殺しをする時も、
> おもいの形に挽くときも。
> 手のひらで感じてください。
> 土と会話してください。
> どんな形になりたいか・・・と。
> 好い形がきっと生まれます。
> いいですよぉ〜〜
> きもち好いんだから〜〜〜(*^v^*)

 ふむふむ、そうそう、ぼくが体感したいのもそれなんだよね。陶芸に限らず、
それぞれの物にはそれぞれに成りたい形というものがあるようです。その声、
言葉を素直にきけば良いわけですね。こちらの思いを押しつけるんじゃなくて、
対象物に聞いてみる。

 さてさて、あまり考えることをせず、とにかく土を触ってみた。木藤さんは
基本的にロクロを使わない、手びねりという手法です。

 一つ目は、ティーカップの大きさの型を借りて、薄く伸ばした板状の土をか
ぶせて椀状にしあげました。ところどころ厚さが違っていて、口のあたりが一
カ所極端に薄くなっている。土に聞いてみると切り取って欲しいと言うので、
カッターナイフでそぎ取りました。そして内側から、先っぽが1センチくらい
の丸い棒の先で何カ所か押し出しました。ふむふむ、いい感じ?

 二つ目は、手びねりの基本だそうですが、5ミリ厚さの丸い底をつくり、棒
状に伸ばした土を積み上げていき、厚めの側面を作っていきます。ある程度形
ができたら、指の感覚で厚さと形を整えていきます。初体験としては上出来だ
ったのでしょうが、底の方が薄く成りすぎて少し不安定。模様を入れて、とり
あえず時間内に仕上げました。

 他の参加者はぼくの作品を見て、縄文土器のようだと言いました。言われて
みるとそうだなあ。

木藤さんのホームページ
「Hi- tuki-boshi Web Page」
http://www.h3.dion.ne.jp/~cosmicg/

    ◇  ◇  ◇

 縄文で思い出しました。アメリカ大陸でも縄文土器が発見されているという
話しをしてくれた石川 仁さん、通称ジンちゃんという人に先日会いました。
現在、岡山の笠岡に住んでいます。

 彼はかなりの冒険家で、大学時代より世界各地を一人旅。サハラ砂漠2700
キロをラクダとともに横断したり、アラスカ最北端でイヌイットと暮らしたり、
コロンビアのオリノコ川をカヌーで下ったりしてきました。そしてペルーで葦
船(あしぶね)に出会います。冒険家のキティン・ムニョス氏とともに3隻の
葦舟を建造し、クルーとして航海に参加しています。

 葦船といっても想像以上に、それはそれはでっかい船です。チリからポリネ
シアまでの8000キロを88日間かけて航海したのですから。

 その後、大西洋横断のためにモロッコからコロンビアへの航海は途中で船体
が曲がり完全走破はできなかったみたいですが、すごい体験だったみたいです。
イルカやクジラと併走し、気づくと海に入って一緒に泳いでいた、そんな経験
などもしたそうです。

 ジンちゃんは「葦は私たちに水を知り土を考え、海を思うことを教えてくれ
る地球環境植物です」と言っています。そして葦をもっと普及させたいという
思いから「葦船カムナプロジェクト」を立ち上げてます。

 ジンちゃんは葦船の航海をもとにして、葦船「カムナ」を日本で建造し、か
つて日本から太平洋を渡り、遠くアメリカ大陸に移住した古代モンゴロイドが
たどった古代海の道を立証しようという壮大な計画を立てています。

 葦船は、数千年前から存在している舟では最古でパピルス(葦)を束ねて縄
でくくられただけでできています。エジプトの壁画にも登場し、現在でもチチ
カカ湖などで漁に使われています。葦船カムナも太平洋横断をすることによっ
て数千年前に環太平洋の民族の移動が葦船で行われていた可能性を証明するこ
とが目的のひとつだとか。

 葦は水質浄化にも一役かっているそうです。その根から重金属や余分な窒素
や燐酸を吸収し、水質浄化や土壌改良にも役立っています。葦1本が年間2ト
ンもの水を浄化し、さらに旺盛な光合成で空気中に大量の酸素を供給していま
す。

 葦船カムナは、3年後に日本からアメリカに向けて出航するそうです。

「葦船カムナプロジェクト」
http://www.kamuna.net/

   ◇  ◇  ◇

 陶芸から葦船に話しが飛んでしまいましたが、土と葦、陶芸と葦船、同じこ
とだと思うわけなんですね。

 それぞれの物にはそれぞれに成りたい形というものがある。その声、言葉を
素直にきけば良い。こちらの思いを押しつけるんじゃなくて、対象物に聞いて
みる。葦には葦の成りたい形というものがあり、ジンちゃんはそれを聞いて産
婆さんのお役目をしているわけです。

 人々がまだ自然の一部だった、あのころの姿に立ち返ろう。人間の思いを押
しつける生き方は、そろそろ卒業してもいい時期に入りましたね。

 

 

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