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松下 幸之助からの伝言
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7 松下 幸之助(まつした こうのすけ) 1894〜1989
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和歌山に生まれる。大正期に電灯用の改良ソケット(二又ソケット)を試作し
町工場を創立。 松下の五精神(のちに七精神)を制定。
個人から法人組織に改組、松下電器産業(株)。
終戦の翌日、幹部社員を集め平和産業への復帰を通じて祖国の再建を呼びかける。
昭和21年、PHP研究所創設、雑誌「PHP」創刊。昭和36年、松下幸之助会長に就任。
昭和55年、松下政経塾を開塾。
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              注)■は偉人の言葉 ◇は筆者の解説とコメント


■ 何事によらず、志を立てて事を始めたら、少々うまくいかないとか、
 失敗したというようなことで、簡単に諦めてしまってはいけないと思う。
 1度や2度の失敗でくじけたり、諦めるというような心弱いことでは、
 本当に物事を成し遂げていくことはできない。
 ひとたび大義名分を立て、志を持って事にあたる以上、
 指導者は1パーセントでも可能性が残っている限り、
 最後の最後まで諦めてはいけないと思う。

 
 
          *****


◇「これは決して夢物語ではない。私は具体的な構想として『人間の森文明』
を提唱したいのである」

これは小野晋也氏のとてつもない宣言である。この「人間の森文明」が実現し
たならば、明治維新以上の大きな変革になることは間違いない。
小野氏は、日本の将来を担う人物を育てるために松下幸之助氏が創った「松下
政経塾」の一期生である。

さて、森に一歩踏み込んでみよう。そこにはさまざまな生物が生息し、それぞ
れの役割をまっとうしつつ、全体が絶妙な調和を保っている。サバンナや森に
暮らす生き物たちは、自分の成長に必要とするもの以上のものを求めようとし
ていない。百獣の王ライオンはシマウマを捕らえるが、けっしてすべてのシマ
ウマを手に入れようとはしない。それは生態系を崩すことにつながり、それは
結果的に自分たちの生存をも脅かすことになるからである。

小野氏はこの「調和のある成長」の考え方とシステムを人間社会に導入できな
いだろうかと考えたのである。

今の世界経済は行き詰まりをみせているが、その根底たる原因は「アメリカ流
の優勝劣敗の考え方」と強く結びついている。相手を尊重することもなければ、
尊敬することもない。自分たちのルールを無理やり押しつけ、そのルールの下
で競争に勝ったものが正しいとするような乱暴な考え方。ライオンでいえば生
態系を考えず、根こそぎシマウマを手に入れてしまう考え方である。
優勝劣敗をルールとするような成長論が、人間を幸せにし、社会全体の利益を
生み出すとは到底考えられない。

多くの人々は今、自由競争と物質主義のアメリカ的文明に疲れて、それに代わ
る新しい文明を求めているのではないかと強く感じている。
しかし、それに代わる新しい方向性が見えなければ私達は進むことができない。
行く先もなく船をこぎ出すようなものである。そこに現れたのが「人間の森文
明」というわけである。

「人間の森社会」とは――
 1、それぞれが主体性をもって生きれる社会
 2、それぞれの成長を尊重する社会
 3、それぞれの個性を大切にする社会
 4、個性を尊重しながらも、全体が大きな調和の社会
 5、官僚的統制ではなく、自律的コントロールによって運営される社会
 6、譲り合いの精神で、自己を周囲に捧げあう社会


まるで夢物語でも聞いているように思うだろうが、「人間の森文明」を実現し
たいと願う人が増え、それが大きなうねりとなれば、近い将来、急速な変化が
起こるはずである。明治維新を思い返してほしい。文明の変化は、ある時間を
かけて静かにその準備が進められたのち、変化が目に見え始めると、急速に社
会全体を巻き込んで動き始める。すでに歴史が証明していることなのである。

小野氏は「人間の森文明」を提唱するにあたり、二つの問題を提議している。
それは「経済」と「青少年」である。

今の若者たちにフリーターが激増しているという。なぜなのだろう。それは今
は、夢や志を持つことが難しい時代になっているからである。少年たちは夢を
見るのが仕事である。夢を描き、ワクワクしながら未来の自分の姿を想像しな
がら大人に話す。すると大人たちは口を揃えて「そんなもので生活できるのか。
もっと地に足をつけて考えろ」。こうした一言がきっかけとなって、夢をあき
らめた子供も少なからずいるはずである。

本来、経済(お金)は、人間が豊かになるための道具であったはずだ。ところ
が今は、お金をもうけること自体が人生の目的となっており、さらに言えば、
人間がお金をもうけるための道具になってしまっている。そして人間は道具に
使われてしまっているのである。

若者たちは、こんな大人たちの考え方に内心うんざりして、自分たちはあなた
たちのような大人のようになりたくない。まっぴらである。しかし、それに代
わる目標というものが見いだせない。今の若者たちは、多くの場合、目指すべ
き大きな目標を持っていないということであり、また、もう一つは、彼らは現
在自らの立っている居場所すらわからなくなっている。

大人たちが彼らに「われわれはこういう社会をつくりたい。そのために、君た
ち若者にこうしてもらいたい」ともっと語りかけることが必要なのではないだ
ろうか。そうするためにも、人間がイキイキと活動できる新しい社会の羅針盤
を早急につくりあげなくてはならない、と思う。

その羅針盤の雛形が「人間の森文明」である。

私は必ず近い将来、この日本人ならではの発想である東西の融合文明が実現す
ると確信している。個々がそれぞれの使命をまっとうしながら、全体が絶妙な
調和を保っている。人間の森の実現がすぐそこまで近づいている。

さあ、「人間の森づくり」の主役は若者たちである。明治維新の志士たちが活
躍したように。大人たちはそれを見守り、手助けし、導く役である。


小野晋也氏のホームページ
http://homepage2.nifty.com/oaktree/


推薦著書/志力奔流「人間の森文明」宣言 (致知出版社)
     著者 小野晋也

 

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