蓮沼門三からの伝言
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9 蓮沼門三からの伝言(はすぬま もんぞう) 1882〜1980
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福島県で生まれる。東京府師範学校内で修養団を創立。機関誌「 向上」を創刊。
渋沢栄―氏を訪ね、修養団への賛同を得る。
大正13年宮内庁から修養団会館建設地の 無償賃与を受け修養団会館落成。
昭和12年汗愛病院を開設。後に修養団病院と改称。 「蓮沼門三全集」(全12巻)。
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注)■は偉人の言葉 ◇は筆者の解説とコメント
■ 眼は酒によって満たされず、密によって満たされず、
ただ光によってのみ充たされるものである。
人の心は富によって満たされず、位によりても満たされず、
温かい純愛によって充たされるものである。
貧乏人の多くが痩せ衰えるのは、粗食と過労が重なる原因ではなくて、
生活難より生ずる不利、すなわち愛の欠乏が主原因である。
もし心に悦楽あり、感謝の涙が流るる境遇にあらば、
どれほど労働しても粗食しても痩せるものではない。
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◇昨日、サラリーマン時代の親友が経営するレストランで、その頃同僚どうし
で結婚した夫婦とも待ち合わせて、久しぶりの再会を喜んだ。
秋晴れの柔らかい日差しに包まれた、静かな田舎にある一軒家の店舗はログハ
ウス調で、内装は友人たちとともに共同作業で作り上げたものだ。子供たちは
陽気にはしゃぎながら店内を走り回り、外に出て小石を拾ってはテーブルの上
に並べて楽しんでいた。無邪気なこの子供たちをながめながら、ふと今読んで
いる本のことを思い出し、バッグの中から取り出して友人夫婦に見せた。『家
族を夢みて』坂岡嘉代子著。
11月6日、福井にお住まいの美雪さんという女性から「興譲文庫のホームペー
ジを見て感動した」との嬉しいメール。美雪さんのお母様の坂岡嘉代子さんが
主宰で「はぐるまの家」という施設を運営されているそうで、社会のワクにな
じみきれない青少年とともに生活をしながら、社会復帰の手助けをされている
とのこと。
さっそく「はぐるまの家」のホームページを訪問し、その活動内容、近況等を
読ませていただき、強烈な感動を覚えた。そのホームページ内の書籍紹介で見
つけたのが『家族を夢みて』。坂岡さんはずいぶん病気と苦労を重ねてこられ
た中で、とても大切なものに気づかれ、そして同じように悩み、もがき苦しむ
青少年たちをそのまま丸ごと、抱え込むかのように、強く強く抱きしめてきた。
私はその母性に、地蔵菩薩を思った。
早く仏道を体得して成仏して衆生を救うのが仏とすれば、まず罪苦の衆生を安
楽ならしめるまでは成仏を願わない。すなわちこれが地蔵菩薩である。
世の中には数多くの賢人たちがいて、人々を救済せんがために法を説き、人々
を導く手助けをしており、確かにありがたいことだが、坂岡さんのような人は
めったにおられない。坂岡さんは理屈なく、ただひたすら身を捧げて、ただた
だひたすら青少年を包み込む。これは女性にしかできないことと思った。
世の中を震撼とさせる青少年の事件が後をたたないが、坂岡さんの琴線に触れ
るエッセイを読ませていただいて改めて実感したのが、子供は「愛」を求めて
いるということ。とくに母親の愛を。その愛情不足が、あるとき引き金となっ
て色々な問題を引き起こす。それに親は気づいていない。子供たちは「ぼくが
一番寂しかったとき、つらかったときに助けてくれなかった」と、親の愛情へ
のどん欲なまでの欲求を、絞り出すように吐き出すという。
外部にその非行の問題を探し、友人が悪い、教師が悪い、学校が悪い、社会が
悪いと、問題を他に転化して一向に「愛」という最も大切なものに気づかない
ままでいる。競争社会に打ち勝ち、高学歴を経て優良企業に勤めることが、子
供にとっても親にとっても最高の幸せだという幻想の中で、気がつけば大切な
「愛」をどこかに置き去りにしてきた。また親として成長し切れていない半人
前の親が、子供をまるでおもちゃのように扱い、捨て、残酷な境遇を与える。
その代償として、その警告を子供たちが発信していることを気づかせてくれる。
仮出所の身元引受人となって青少年を引き取り、また両親の手にも教師の手に
もおえなくなった問題児を引き取り、ともに生活をしながら坂岡さんはありっ
たけの愛を子供たちに与え、包み込む。ああ、私も包んで欲しい、大人でもそ
う思う。子供が思わぬはずがないではないか。
はぐるまの家では「はぐるま太鼓」を教え、施設や刑務所の慰問などもされて
いる。太鼓の内臓までをも振動させるような響きが、彼らの本心良心をも蘇ら
せているに違いない。
『家族を夢みて』の本の内容を友人夫婦に紹介しながら、母の愛情は絶大で、
絶対なるもののようだと語ったら、夫はうなずき、妻はうつむきかげんで私の
目をみた。責任の重大さを感じたのだろう。21世紀は母性の時代という。まさ
に坂岡さんのような人が求められているのだと実感した。女性が世の中を正し
救っていくのではないかと思う。
※読者の皆様の中で、子育ての真っ最中の方、お子さんに悩んでおられる方、
ぜひとも『家族を夢みて』を入手されてご一読ください。
理屈ではなく、体験、実話が忘れていた大切な何かを取り戻させてくれると
思います。
「はぐるまの家」
http://www.ttn.ne.jp/~haguruma/
書籍紹介をご覧下さい。
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